診断方法
鑑別診断のポイント
頭痛の鑑別診断で最も重要なのは「問診」です。
問診のポイントとしては
①時間的経過
- いつから始まったのか
- 痛みはだんだんひどくなるのか、あるいは初めに激しく痛み、徐々に軽くなっていくのか
- 以前に同様の痛みはあったのか ・前兆はあったのか、あるいはなかったのか
②痛みがある場所
- 後頭部、側頭部、眼窩近辺など ・両側性、片側性など を適切に聞き出すことが重要です。
問診票の利用
- 各項目毎に問診を行い、「はい」「いいえ」いずれかに○をつけます。
- 回答欄の数値を合計します。
数値合計が
・+5以上 ・・・「緊張型頭痛」
・+4~+3・・・「緊張型頭痛の疑い」
・+2~‐2・・・「精密検査が必要」
・‐3~‐4・・・「片頭痛の疑い」
・‐5以下 ・・・「片頭痛」
注)+2~-2:脳腫瘍、髄膜炎などのこわい頭痛はここに入ります。
頭痛診察のフローチャート
片頭痛の臨床所見
偏頭痛発作の20%は前兆を伴う
特徴的な前兆:
- 頭痛が2~72時間持続
- 激しい頭痛
通常は片側に限局、ときに両側性 拍動性 - 閃光(光視症)
- 視野欠損領域周囲に光るジグザグ線(閃輝暗転)
- 光を嫌悪(光過敏)
- 騒音を嫌悪(音過敏)
- 顔面蒼白
- 悪心・嘔吐
慢性発作性片頭痛の臨床所見
インドメタシンが100%有効
- 激しい発作では悪心・嘔吐が発生
- 頭部の機械的運動により発作が誘発されることがある
- 頭痛が平均1.3分間持続
1日平均発作回数は14回 - 片側眼球、前頭、側頭領域に激しいまたは激烈な痛み
- 痛みが、耳、頚部、肩に放散することがある
- 同側の鼻汁、鼻閉軽度眼瞼下垂、眼瞼浮腫、結膜充血、流涙
薬剤反跳性頭痛の臨床所見
エルゴタミンや単なる鎮痛剤による疼痛軽減は一時的で、完全に消失することはまれである
少なくとも1日1回は自己投薬- 反跳性頭痛症状に片頭痛症状の重なることが多い
- 頭痛は連日発現
頭痛は典型的に1日中持続 - 頭痛は軽度~中等度の両側性、または前頭後頭部、またはびまん性の鈍痛
服用中止により痛みは増悪
目覚めたときに痛みがある
緊張型頭痛の臨床所見
ストレスに伴い反復発作性頭痛が発現
抑うつ、不安がよくみられる- 激しい発作時には軽度の光過敏または音過敏
- 頭痛は30分~7日間持続
慢性型では頭痛が1日中毎日 - 持続頭痛は鈍く、持続性であるが、強度は日内変動する
- 圧迫あるいは締め付けられるような痛みと表現される
- 頭部周囲に両側性に存在
- 頭痛は運動や飲酒で増悪しない
群発頭痛の臨床所見
片側性または両側性の発汗
- 飲酒、顔面の冷風または熱、血管拡張物質、興奮、睡眠により誘発
- 顔面紅潮
- 鼻閉
- 頭痛が15~90分間持続
3~16週間にわたり発作群発
年1~2回の群発が最も多い - 痛みにより毎晩同時刻に目覚める
- 片側眼窩後部と眼球周囲
痛みは側頭部、下顎、鼻、頤部、歯に放散することがある - 眼瞼下垂
- 流涙と結膜充血
縮瞳